妙善寺

東武東上線やJR川越線の川越駅の東口を降りて、五、六分歩くと、まわりの建物にまぎれそうな所に妙善寺があります。境内には例の「川越七福神巡り」の一番目の毘沙門天びしゃもんてんを祀っています。創建は比較的新しく江戸時代の寛永かんえい元年(1624)に、天台宗中院の尊能法師そんのうほうしにより、法師の父母の菩提ぼだい寺としてはじまりました。なお「妙善」という名前も父母の法名、道仙三心 妙善大姉から名づけられたといわれます。
妙善寺の本尊は、不動明王で、不動明王は天然寺の本尊である大日如来の化身とも言われますから、話が複雑です。なお毘沙門天は、仏教の守護神で多聞天とも呼ばれています。よろいかぶとで身を固め、左手に宝塔を持ち、右手にほこをたずさえています。宝塔は、無量の宝物を衆生に与え、鉾は邪気を払うことを象徴しているそうです。一般的には戦いの神のイメージがありますが、少し違うようですね。
妙善寺で特筆されるのは、さつまいも地蔵尊が安置されていることです。川越地方でさつまいも栽培がさかんになった背景には、江戸現在の東京で焼き芋用にさつまいもが出荷されたのことがあったという話ですが、一般的にはさつまいもは飢饉や凶作のために備えられる食物だったようです。健康志向の現在では、健康のための食物としてのさつまいもが見直され、平成7年(1995)の秋、川越さつまいも商品振興会によって妙善寺の境内に「川越さつまいも地蔵尊」が建立され、毎年十月十三日には、境内では「いもの日まつり」が開かれているということです。なぜこの日かというと、十月は、さつまいもの収穫期、十三日は「九里(栗)よりうまい十三里半(川越・江戸間の距離。一里は約4キロメートル)」からきているとか。
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