アルとの別れ

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昨日(9月5日)の夜一時、我が家の愛犬アルが旅立ちました。今年六月で十二歳になり、今日までで十二歳と二ヵ月という、人間と比べて短い、また大型犬にしては多少壽命が長かったといえるかもしれません。今年の誕生日を過ぎるころから衰えのきざしがありました。ちょっとした拍子でびっこをひいたのです。何度かの下痢や悪性でない腫物ができた時の他には病院に行くことがなかったのですが、その時は先生から「階段の降りること」が厳禁されました。それ以来、神社の急な石段を迂回してしたの公園に向かうようにしました。その際アル君を納得させるため、おやつの切れ端をあげることになりました。幸いびっこそのものはのはなくなりましたが、それ以来今まではできるだけ遠くに行こうとしていたアル君が決まったコースを選ぶようになりました。初めは連日の猛暑のためとあまり気にとめなかったのですが、どうもちがうようです。比較的涼しい朝の散歩はともかく夕方の散歩が近くの神社の庭か、坂を降りた近くの公園だけを選んで、おしっこやうんちをすませる有様です。さらに暑さをました時期には朝は一時間早めたり、夕方は遅く出かけるようにようにしました。曇りや雨の日が多くなり幾分穏やかな気候になりはじめたとき、昨日まで機嫌よく食べていたものを食べなくなってきたのです。八月の半ばだったでしょうか、今まで夢中で飛びついていた野菜や果物をぷっつり口にしなくなったのです。一番困ったのは肝心のドックフードを食べなくなったのです。口元につまんで持って行っても顔をそむける始末です。仕方がないのでドックフードを電子レンジで温め、水にふやかして食べさせたところ自分から進んで食べるようになりました。またササミとじゃがいもとキャベツを煮込んだ物を食べさせたりしました。ちなみに今までは、一日三食ドックフードを与え、夕方三食目の後、少しずつ煮たキャベツを食べさせていました。その頃はキャベツ単独では食べなくなっていました。ドックフードの代替としてたべさせたのですが何回かするとたべなくなりました。電子レンジであたためたドックフードは最初は進んで食べ、残したものも時間をおいて完食しました。そのうちたべ残しをするようになり、食べさせる料を減らしたりしましたが、結局たべなくなったのです。一番ショックを受けたのは、あれほどとびついていたおやつに顔をそむけたことです。食べ物の受け入れに一喜一憂している間に、アル君の体の衰弱確実に進んでいました。散歩の途中で座りこんだり、水をしきりにほしがたり……しばらく待ってお尻を少しささえて立ち上がらせたり、おしっこをした時の水を分けてあたえたりしました。その間立ち上がり大変なので、ゲージをたたんで、部屋の中ですごさせることにしました。最初のうちは自由に家の中を探検して廻る様子もみられましたが、それもできなくなりました。なにしろフローリングの上ではふんばりがきかず、自力で立ち上がることができなくなりました。ある朝我が家の門の前で、地面に寝そべって行こうとしなかったのが最後の散歩でした。今まで喜んでやってきたことができなくなったり、食べていたのが食べなくなったりというのは悲しいことです。何が原因かわからないまま、動物病院に連日連れていって点滴を打ってもらったのですが、はっきりした診断はもらいませんでした。動物病院の先生の話では、(目の色や歯ぎくの色、そしておしっこの色が黄色くなっていることから判断して)<ruby>黄疸<rt>おうだん</rt></ruby>を起こしているということで、肝臓や膵臓など内蔵の疾患が考えられるということでした。くわしい原因は精密検査の結果をみなければわからないということで、精密検査をして原因を見つけるか、年齢を考えてしばらくの間対処療養にゆだね様子をみることにするかの二者択一を迫られていました。その日の夜、たまたま起きていた娘の前で息をひきとったということです。あっという間の別れなので今でも起き上がってくるような気がして、現実として受け入れられない気持ちがします。

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