周ののろしと北朝鮮のミサイル

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昔のそのまた昔、中国の話です。中国の中央よりやや西よりに「周(しゅう)」という大きな国(領域国家)がありました。当時の周は、幽王という王がおさめていましたが、一時の勢力が弱まり、周に従わない外敵(犬戎=けんじゅうとよばれていた)の侵入に悩まされていました。周では外敵の侵入が予測されると、のろしを焚いて味方の諸侯を呼び集めるのが習慣になっていたようです。幽王には申后(しんこう)というも有力者の娘を正式の妃がいました。しかも跡継ぎの王子も産まれていました。しかし幽王は、申后の娘に代え褒似(ほうじ)という娘を妃にしてしまったのです。申后と幽王の關係が悪くなったのはいうまでもありません。一方褒似は、たいへんな美貌の持ち主だったのですが、決して笑おうちとしない女性でした。ところが外敵の侵入を知らせるのろしによって呼び集めらられた味方の家来のあわてぶりを見て大笑いをしたのです。その様子を見た幽王は、褒似の笑顔を見たいばかりに、何回となく、外敵の侵入に関係なく、のろしを焚いて味方の諸侯を集めたのです。しかしこんなことが長く続くことはありません。いくらのろしを焚いてもだれも集まらなくなったのです。ある本には、褒似は捨てられた子だったということです。褒似が決して笑おうとしなかったのはそんな境遇のせいだったからでしょう。やがて幽王は、犬戎と結んだ申后によって殺されてしまいました。おそらく褒似も幽王と同じ運命をたどったのでしょう。それにしても幽王ののろしが、最近の北朝鮮によるミサイル実験についての国の報道と何か似たものがあるような気がするのですがいかがですか。

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