「らんまん」製作者に感謝

町の声、人の声
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NHKの連続テレビ小説「らんまん」も、今週が最終週です。植物学者牧野富太郎をモデルとした槙野万太郎の生涯を江戸末期から大正の関東大震災の激動の時代を背景に描かれてきました。多彩な出演者・主題曲・語り手など話題が多い作品にしあがっていますが、一番印象に残っているのが、時代を象徴する様々な事柄が時々におりこめられてきたことです。まず最初の頃、万太郎の故郷高知県で起こさった自由民権運動でした。ドラマでは主人公が運動に関わった疑いで、囚われの身になりました。植民治下の台湾に派遣された主人公が現地で發塤した新種の植物名を台湾ちなんだ名前にしょうとした万太郎に対して、台湾を統治している日本語になじんだものにしろという横やりが上から入ります。さらに国が推し進める神社の合祀令に対して、神社の森に存在する植物を守るために自分の職も賭ける主人公のの姿もありました。そしてつい最近描かれた関東大震災直後の事件として、万太郎の子供が、ある新聞記事を見入り憤慨する場面がありました。その新聞記事というのは「大杉栄・内縁の妻伊藤野枝・甥の6歳の橘宗一が憲兵寿恵子隊に連れ去らわれ殺害された」という内容でした。もちろん植物に対し熱情をささげた万太郎と、万太郎を蔭になり(あるいは日向になり)支えた寿恵子を主軸に据えたドラマの展開だったことは言うまでありませんが、物語の節目に登場した様々な事柄を登場させたことが、いままでのNHKの朝ドラも例の大河ドラマにもなかったことなので、「らんまん」製作者に感謝します。

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