ススキについてのあれこれ

生け花
カテゴリー

青紫の花はリンドウ、黄色の花はキク、そして、すっとほうき状に伸びた花穂はススキです。ススキはその昔、十五夜の月見の日に、ハギとともに飾られたようになじみの深い草花で、日本中どこでも見られましたが、最近は見ることが少なくなったようです。ススキについては、昔から人々の生活と密接に結びついてきました。ススキは「茅」(かや)と呼ばれ、農家で茅葺(かやぶき)屋根の材料として使われたり、家畜のえさとして利用されてきました。またその花穂が動物の尾に見立てて、尾花(おばな)と呼びました(ススキ自体を尾花と呼ぶ場合がある)。また馬の毛色で尾花栗毛(おばなくりげ)というのは、たてがみや尾が白色のものを白くなったススキの穂に見立てて呼んできたそうです。また『万葉集』には、「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また 藤袴 朝顔の花」という山上憶良が詠んだ歌があるように秋の七草の一つにかぞえられています。ちなみにススキは、秋の季語ということです。「幽霊の正体見たり枯尾花」という諺はよく知られています。ススキは、イネ科の植物で、冬には、地上部は枯れてしまいますが、地下茎はしっかり根をはる春にそなえます。

コメント